リュドヴィク・ペナン作ブロンズ製メダイ 絶えざる御助けの聖母 受難のテオトコス 25.2 x 16.1 mm


突出部分を含むサイズ 縦 25.2 x 横 16.1 mm

フランス  1899年



 

 ビザンティン美術の図像「受難のテオトコス」をテーマしたブロンズ製メダイ。19世紀フランスを代表するメダイユ彫刻家のひとり、リュドヴィク・ペナン (Ludovic Penin, 1830 - 1868) が制作した型により、1899年頃に打刻されたものです。

 西ヨーロッパにおいて、「受難のテオトコス」は「絶えざる御助けの聖母」(Notre-Dame de Perpétuel Secours) という名前で知られており、ローマの聖アルフォンソ・デ・リゴリ教会 (Chiesa di Sant'Alfonso all'Esquilino) に安置されているイコンが有名です。





 メダイの表(おもて)面には、ふたりの天使を伴った聖母子像「受難のテオトコス」(絶えざる御助けの聖母)を、方形の枠の中に描きます。ふたりの天使は、聖母子の左上方が大天使ミカエル、右上方が大天使ガブリエルで、受難の道具を運んでいます。それを目にして恐怖に駆られた幼子イエズスは、母に駆け寄って胸にしがみつき、目を大きく見開いて大天使を凝視しています。

 知情意と肉体に関して、イエズス・キリストは普通の人間の幼児と同様に少しずつ成長されました。 したがって稚(いとけな)い子供であったイエズスが、恐ろしい十字架や槍を見たときに感じた恐怖は、普通の人間の幼児の場合と何ら違いがありません。母の胸にしがみついた幼子イエズスの、右足のサンダルの紐が切れているのが幼子の恐怖感を表していて、何と痛々しいことでしょうか。私はこの図像を見るたびに、心が痛んで涙が出そうになります。

 聖母子像の四角い画面を挟んで、聖母に執り成しを求める祈りの言葉がフランス語で記されています。

  Notre-Dame de Perpétuel Secours, priez pour nous.  絶えざる御助けの聖母よ、われらのために祈りたまえ。

 聖母子像の下には、メダイユ彫刻家リュドヴィク・ペナンの名前 (L. PENIN) が刻まれています。





 裏面には、フランス語で「ミシオンから贈呈」(Souvenir de Mission) と記されています。「ミシオン」(mission) とは、カトリックの振興を目的に、かつてフランスの教会によって盛んに行われ、現在でも小規模ながら続けられている運動です。農村部を中心とした各地に宣教団が出向いて一定期間滞在し、説教を聞かせたり教理問答を教えたりします。「ミシオン」での奉仕活動に参加した信徒には、教会から記念品が与えられ、「ミシオンから贈呈」(Souvenir de Mission) という言葉が書かれています。

 19世紀末は、フランスが普仏戦争とコミューンの痛手から立ち直り、パリをはじめとする都市が繁栄を謳歌した「ベル・エポック期」(la Belle Epoque 美しき時代)として知られています。 しかしながら農村部には産業革命と物質文明の恩恵もいまだ及ばず、信仰篤い人々が神に感謝しながら、昔と変わらず土を耕す日々を送っていました。ミシオンから贈られたとあるこのメダイを手に取ると、当時のフランス農村部の人々の信心深く質素な日常がまぶたに浮かびます。

 裏面の周囲には、アンティーク・ジュエリーに施される彫金細工「ミル打ち」を模した粒状装飾が施され、中世のイコンを刻んだこのメダイに、いっそう古典的な雰囲気を添えています。

 本品は19世紀に制作されたたいへん古い物ですが、ひどい摩耗や特筆すべき疵(きず)も無く、たいへん良好な保存状態です。貴金属や宝石をちりばめた精巧な美術工芸品とは違った魅力、地に足を着けて質素な生活を送る人たちに大切にされ、伝えられてきた品物のみが持つ表情に、心を惹(ひ)かれます。





本体価格 9,500円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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